射手座の男/赤いマスタング

18禁のBL小説です。音大のバイオリン専攻大学院生×ピアノ科学生の恋愛と、ニューヨークに住む30代日本人男性二人の恋愛の2本を載せています。※移転しました。移転先はプロフィールの下に。

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射手座の男 14 【危険】

 間もなく梅雨入りと思わせる六月のどんよりした曇り空の下、甲馬はついに待ち望んだ日を迎えた。
 ここまで来たら寺本も逃げようがない。飛行機のチケットも同じ日に取った。成田で驚かせてやろうとも考えたが、少しは一緒に留学準備をしたい。買い物にも行きたい。しばらく会えない日本とも一緒に別れを惜しみたい。従弟に譲る予定のソアラでドライブもしたい。
 その日、寺本は昼頃学校に来ると言っていた。甲馬はピアノ科の建物に入り寺本を探す。階段を上がった所でやっと寺本を見つけると、寺本は笑顔で小さく手を振った。
「あのさぁ、寺本、実はさぁ……」
 するとそこへ寺本の担当教授が後を追うように歩いて来た。
「寺本くん、これ、忘れ物。これを忘れたら入学できないよ」
 教授は寺本に茶封筒を渡した後、隣の甲馬に視線を移した。眼鏡を少し下にずらして、上目遣いに甲馬を見た。
「君は…弦の甲馬くんだね」
「え? あ、ご存知とは光栄です」
「有名人じゃないですか、いろんな意味で」
 寺本が軽く噴き出すのが聞こえた。
「オレ、いや、ぼくもこの夏からアメリカに留学するんです」
 寺本の笑いが止まり、これ以上ないという驚いた顔で甲馬を見る。甲馬はこれ以上ないという勝利を感じる。
「ほお、そうですか。それは伊藤先生もお喜びでしょう。どちらの学校?」
 寺本が放心状態で立っている。
「イーストマンです」
 大きく見開いた子鹿のような目でもう一度甲馬を見た。
「ニューヨークですね。寺本くんと同じだ」
「あ、そうなんですか?」
 甲馬はわざととぼけてみせる。
 留学先が同じだからといって二人の関係がばれるはずはない。イーストマンくらいこの学校からは腐るほど行っている。本当は「はい、一緒に暮らすんです」と声に出して言いたかった。まさか寺本と暮らすために同じ大学にしたとは、この教授は夢にも思わないだろう。
「楽器は違いますけど、向こうで会うこともあるかもしれませんね。そしたら仲良くしてやって下さいね」
 はい。仲良く、ものすごく仲良くしてあげます。もう離しません。喉まで出掛かった。
 教授が去っても、寺本は黙って突っ立っている。少し戸惑う。「ざまあみろ」と言おうか、素直に「離れたくなかった」と言おうか、それともこの呆然とした男を置き去りにしてこのまま立ち去るべきか、どうしたらいいのか、本当に解らなかった。
 廊下の床を見つめる寺本の顔を覗き込むように言った。
「喜んでくれるだろ? 嘘みたいにすごい先生を紹介してもらえたんだ」
 寺本の肩に両手を置く。
「お前のお蔭だよ。伊藤先生も親も喜んでるし、いい先生につけるし、お前とも一緒だ。こんなすごい一石三鳥があるもんなんだな」
 甲馬の手を振り払い、寺本は何も言わずに廊下を歩き出した。
「なあ、寺本、怒ってんのか?」
 足早に歩く寺本の後を追う。
「怒ってません」
 かなり怒っているようだ。
「飛行機も同じ日に取っちゃったぜ。ニッポン・エアだ。一緒にチェックインしような。隣になれる」
 寺本は一瞬立ち止まってまた歩き出した。
「本当は嬉しいんだろ? 正直に言えよ」
「どうしてもっと早く言ってくれなかったんですか?」
「それはこっちのセリフだよ」
 寺本はまた立ち止まり、今度は振り向いて甲馬を睨んだ。怒った顔がこんなに可愛い男を初めて見た。
「オレから逃げようったって駄目だぜ」
「………」
「だって地球は丸いんだもーん」
「……何ですか、それ」
「あ、知らない? フォーリーブス」
「ああ、何となく」
「寺本よぉ」
 寺本の体を抱き寄せて、ダダをこねるように全身を揺らす。
「愛してるんだよ。離したくないんだよ。もう二度と、絶対に、オレから離れるなんて言わないでくれよ。な? お願いだから」
 寺本は顔を背けて窓の外を見つめている。何人かの学生が二人の横を走って通り過ぎた。気にする必要はない。オレはこいつを愛している。
「何でもするからさ。お前の言うとおりにするから。煙草もやめろって言うならやめるよ」
 それは困る。あの煙草臭いキスがして貰えなくなる。
 寺本は甲馬を払いのけ階段を走り下りた。すぐに踊り場で捕まる。
「やめる…のはちょっと辛いから、本数減らすよ、絶対減らす。一日一箱にする」
 それならいい。
「もうオレはいれないで、お前だけいれるっていうのでもいいから」
「あ、それじゃ嫌です。僕、いれられるの好きだから」
「あ、そっか」
 寺本が上目遣いに笑った。甲馬も笑った。もう一度強く抱き締めると、寺本が悔しそうにぼやいた。
「せっかくアメリカ人相手に大暴れしようと思ったのに」
「それ、結構本音だろ」
「かなり本音です」
「そうはさせないぞ」
「甲馬さんだって、金髪の女の子見たらきっとウリャーとか言って蘇りますよ。一回浮気したら、一回浮気し返していいってことにしません?」
「オレ、土井と同じで洋物は駄目なんだ」
「成田で変な雑誌持ち込もうとして没収されたんでしょ?」
「ったく広瀬の野郎…」
 そう言って甲馬はその和物の唇にキスをした。マイルドセブンのキスをした。寺本が背中にしがみ付いてきた。甲馬も寺本をしっかりと抱き締めた。
「お前一人でアメリカなんて行かせられないよ。お前、アメリカ行こうとしてアフリカ行っちゃうよ」
 この同じくらいの身長の奴と立ってキスするのが、甲馬は今ではすっかり気に入っている。
「空港の外に出てさ、ものの五分で身包みはがされるぜ。ニューヨークってのは生き馬の目を抜く所なんだぞ」
 首も疲れないし、胸と胸がぴったりと重なる。寺本の激しい心臓の鼓動が伝わってくる。
「冬には滝が凍るって聞いたぜ。オレがいないと、お前、風邪引くぜ」
 何よりも、お互いの一番敏感な部分がしっかりと擦れ合う。それがいい。
 階段の下からキャッという女の叫び声が聞こえた。
「…甲馬さん、馬鹿だ」
「馬鹿はお互い様だ」
 そう言って甲馬が寺本の下唇をつまむと、寺本は目を伏せ、鼻をクンクンと動かした。
「松脂返せよ。もう要らないだろ?」
 その嗅覚男は、恥ずかしそうに苦笑した。
「ずっと一緒だぞ。幸せにしてやるからな。一生、お前のこと、守ってやるからな」
 寺本の瞳から涙が一筋流れ落ちた。
 本当はこのままジーンズを下ろせたらいいのだが、学校の階段の踊り場ではちょっと無理だ。
 寺本が甲馬のジーンズを下ろすと、甲馬の大きな物はプールの飛び込み台のように跳ね上がる。そして甲馬が寺本のジーンズを下ろすと、それよりは多少小振りな飛び込み台が跳ね上がる。そして飛び込み台同士を仲良く遊ばせる。それがいい。

 そのまま寺本の手を引っ張ってマンションに戻った。
 玄関に入るなり、寺本はいきなりひざまずき、おもむろに甲馬のジーンズのベルトを外し始めた。張りつめた物が痛い。ジーンズを下ろすと、下着を下ろすまで待てないかのように、布の上から舌を這わせた。
「ちょっと……待て…お前」
 しかし寺本は黙って下着を唾液で濡らし始めた。こんな感覚は初めてだ。濡れた布が肌に貼り付いて気持ちが悪い。でも、局部を這う舌の動きは、かつて感じたことがないほど強烈な刺激だ。自分らしからぬうめき声をあげてしまいそうで、慌てて口を押さえた。
 されるがままに甲馬が突っ立っていると、やがて寺本はその濡れた下着も下ろし始めた。
 跳ね上がってきた飛び込み台を口に含み、寺本はいつもに増して激しく頭を振り始めた。
 これじゃまるでマヌケじゃないか。Tシャツを着たまま、靴も脱がず、下半身だけ丸裸にされ、服を着た男に好き放題されている。オレだって、こいつを刺激してやりたいのに。
 しかし全く抵抗できないまま、不覚にも甲馬は膝を崩してしまった。それでも寺本は離れず、座り込んだ甲馬の固くなった物を片手でつかみ動かしながら、今度はその下の赤黒い部分を口に入れた。甲馬はこれ以上の刺激に耐えられる自信がなくなってきた。両方の球を交互に舌で転がしながら、ふたついっぺんに口に含もうとして、寺本は一瞬喉を詰まらせむせてしまった。
 今がチャンスと甲馬は寺本の頬に両手を当て、自分に近付け貪るようにキスをした。頬を赤くした寺本は、甲馬の舌を食いちぎるのではないかと思うほど激しかった。
 ベルトがカチャカチャと鳴る音が聞こえる。寺本はキスしながら、自分でジーンズを脱いでいるのだ。オレが脱がせてやりたかったのに。
 立ち上がってジーンズと下着を一緒に脱ぎ捨てた寺本は、いきなり甲馬にまたがってきた。
「おい…お前………もういれるのかよ」
 そんな甲馬の声など聞こえないかのように、自分の穴に甲馬の先端を当て、息を大きく吐きながら、両手で自分の穴を広げながら、ゆっくりと、ゆっくりと下りてきた。目を細めながら真っ直ぐに甲馬を見つめている。根元まで入ると、やっと一息吐いたように静かに目を閉じ、甲馬の頭にしがみついてきた。
「オレのケツの下、サンダルなんだ。いてえよ。ベッドに行ってやろうぜ」
「連れてって…」
「え?」
「このまま…連れてって……」
 おい、お前、何キロあるんだよ。いくら細いとは言え、男としてもかなりでかい方だろうが。でも、頼まれたからには、オレはやるぞ。
 寺本の両腿を抱え、壁に背を当てながら立ち上がった。寺本のしがみつく腕に力が入った。かなり重いが、意外と楽に持ち上げられた。しかも、甲馬の先端はこれまでにないほど寺本の体の奥深くに突き刺さり、寺本の重みで、穴は今にも張り裂けそうだ。寺本は泣きそうな声を出した。
 ベッドへ行く前に、股間に載せた寺本を上下に激しく振ってみた。寺本は一瞬、玄関ドアの向こうまで聞こえんばかりの声で叫んだ。そんな声を聞いたのは初めてだったので、甲馬は動くをやめる訳にはいかなくなった。
 寺本を抱えたまま体を回し、壁と自分の間に寺本を挟んだ。これでもっと激しく突き上げても、寺本を落す心配はない。更に奥まで進んだ。気を失ってしまいそうなほど感じている、この男が好きだ。
「寺本、好きだぜ、好きだ、たまらなく好きだ」
「甲馬さん……」
「寺本……………」
「……甲…………」
「悪い………」
「あっ」
 狭苦しい玄関で、情けないことに、二十分も経たない内に終わってしまった。しかし寺本は満足そうに、甲馬を見つめて口角を上げた。何て可愛い唇なんだ。魚のようなキスをしてやった。
「愛してるぜ、寺本」
 すました顔の寺本が答えた。
「甲馬さん…」
「甲馬さん、じゃねえよ。愛してます、だろ?」
「愛してません」
「ホント、お前、可愛くねえな」
 さすがの甲馬も腕がしびれた。早くベッドへ行きたい。長いまつ毛に唇を当て、ささやくように言った。
「シャワー浴びて、ちゃんとベッドでしようぜ」
「シャワー浴びないで、クローゼットの中でやりましょうよ」
「…………………………………………」
 アメリカに行っても、ジム通いは続けよう。寺本は元気だ。
 今気が付いたが、この玄関、微妙に足臭いぞ。

つづく

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テーマ:自作BL小説 - ジャンル:小説・文学

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